毎年、楽しみにしている蝉の羽化。
昨夜は、3匹見つけた。
抜け殻が3つ並んでるのなんて、「ダンゴ三兄弟」みたいで、微笑ましくなる。
前から気になっていた映画を、二日続けて見て、少し気持ちがメゲていたので、そんな時、蝉の羽化を見ると気持ちが慰められる。
その映画とは、井上ひさし原作の「父と暮らせば」(黒木和雄監督、宮沢りえ、原田芳雄、浅野忠信)と、井伏鱒二原作、「黒い雨」(今村昌平監督、武満徹:音楽、田中好子、北村和夫)。
両方とも広島の原爆を元にした作品だが、「父と暮らせば」の方は、親子の微笑ましいやり取りの奥から少しずつ問題が滲み出てくる。
原田芳雄の軽妙洒脱なオヤジぶり、宮沢りえの控えめで繊細な表現が魅力的だ。
「黒い雨」はモノクロ作品で、広島の惨状や原爆症の症状など、まるでドキュメンタリー映画を見ているかのように見る者に迫ってくる。
よほど綿密な取材をしたのだろうと思っていたら、井伏鱒二は、釣り仲間・重松静馬が子孫のために書き残した被曝日誌『重松日記』を資料に書いていたのだった。通りで、生々しい表現が各場面に出てくると思った。
ピカドンが落ちてから戦後70年も経って、この数年がいちばんキナ臭いとは、本当に情けない限りだ…。ただ、諦めることなく気を落とすことなく、想いは伝えていこう。
最後に、私が国立第二中学校に通っていた頃に習った歌を紹介しよう。
夏休み前の音楽の授業の時、先生は生徒たちにガリ版刷りのプリントを配ってくれた。それは、「原爆を許すまじ」という歌の歌詞だった。その生々しい言葉に、教室の中は少しシンとした。
この男の先生は、もうお亡くなりになったけれど、この歌を私たちに教えてくれたことを、いま改めて感謝したい。
「原爆を許すまじ」
作曲: 木下航二
作詞:浅田石二
ふるさとの街やかれ
身よりの骨うめし焼土(やけつち)に
今は白い花咲く
ああ許すまじ原爆を 三度許すまじ原爆を
われらの街に
ふるさとの海荒れて
黒き雨喜びの日はなく
今は舟に人もなし
ああ許すまじ原爆を 三度許すまじ原爆を
われらの海に
ふるさとの空重く
黒き雲今日も大地おおい
今は空に陽もささず
ああ許すまじ原爆を 三度許すまじ原爆を
われらの空に
はらからのたえまなき
労働にきずきあぐ富と幸
今はすべてついえ去らん
ああ許すまじ原爆を 三度許すまじ原爆を
世界の上に
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